徳島県出身の福音歌手でピアニスト、バリトン歌手である北田康弘氏が、旧会堂の時代にゲストとしてご夫妻で来られたことがあった。私と同県人であり親しみをも感じたが、何よりも神さまが彼に与えられた音楽の賜物には大いに感動し心打たれた。またお二人がプロとして奏でる絶妙なご夫妻の演奏と独唱には、技術以上の言葉に言い表すことができないものが見てとれた。
ご存じかもしれないが、民放の番組で「奇跡体験!アンビリーバボー」というのがあった。それに「全盲のピアニスト」と題して、北田さんが全国に紹介されたのである。それ以来、彼はキリスト教会以外に、人権団体、学校、福祉団体からコンサートの依頼が増えて全国的に活躍されるようになった。コロナ禍では一時期、活動ができなくなりたいへんであられたようだが、徐々にその働きを進めておられることを聞いて喜んでいる。
北田さんは、1965年、徳島県生まれ。未熟児網膜症と医療ミスによって5歳で失明された。県立盲学校で16年間寮生活により在校。ご事情でご両親の離婚の後、多くの苦しみを不屈の精神で乗り越え、独学で習得したピアノを専門的に学ぶために上京。筑波大学付属盲学校専攻科音楽科ご卒業。武蔵野音楽大学音楽学部ピアノ専攻科をご卒業された。1993年、夫婦でキリスト教会に出向き求道して受洗。音楽活動の最中、聖書を学ぶために東京バプテスト神学校にご入学。4年間の通学を全うされご卒業された。2004年、CD発売を機にメジャーデビュー。第31回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール第1位受賞。
北田さんは、コンサートで語っておられる。「自分に自信を持って生きて欲しい。自分は自分のままでいいのです。他人と比較すると劣等感を抱いてしまいます。ありのままの自分を受け容れ、ありのままの自分生きてみる。人を羨むのではなく、自分らしい輝きを大切にするとき、そこに光が差してくるはずです。悲しいとき、つらいとき、私は思いました。せめて一分でもいい。私に視力をいただけるとしたら、夜空に輝く満天の星を仰いでみたいと。それは適わない夢でした。それでも、私は絶望しません。」と。
そう言えるのは、北田さんがイエス・キリストを人生の救い主として信じ、神の御目によって自分自身を見ることができるようになったからである。「わたしの目にはあなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)。自己評価は逆転した。また、彼は心にキリストの光を得られたからである。「わたしは世の光である。わたしに従ってくる者は、やみのうちを歩くことなく、命の光を持つであろう」(ヨハネ8:12)と、イエスさまは言われる。
北田さんの内側には誰にも奪われることのないキリストが共に住んでおられ、その命に溢れておられるのである。彼は、もはやこの世の価値観に振り回されることはない。あなたも自分の思い込みや他人の評価によって支配される人生ではなく、あなたを素晴らしくユニークな存在としてお造りになられた神による安心と満足をいただいて歩んで行こうではないか。
