「日本人の先祖は、ユダヤ人である」と主張する人々がいて一部の信者たちが影響を受けているといわれている。その根拠として、北イスラエルがアッスリヤ帝国に滅ぼされ捕囚の民となりその十部族は失われてしまい、その一部が日本に流れて日本人となったというのである。これが「日ユ同祖論」と呼ばれている。
しかし、聖書はどういっているのか。今回は新約聖書に注目しておきたい。主イエスがお生まれになられた時代として、ルカ2:36によると、女預言者アンナのことを北イスラエル十部族の一つアセル族のパヌエルの娘として紹介している。
使徒26:7では、パウロにより「わたしたちの十二部族」として証している。ヤコブ1:1には、ヤコブが十二部族に対して挨拶文をあげている。イエスの時代、使徒たちの時代は、十部族はユダとベニヤミン族の二部族と一緒に数えられていたのである。これは、失われた十部族の考え方そのものを否定しているのである。
さて、ではよく聞くこととして、日ユ同祖論の状況証拠として日本にヘブル語の影響があるといわれているが、それはなぜか。先回紹介した、佐伯氏は、京都の太秦(うずまさ)は、ヘブル語の「イシュ・マシャ(イエス・キリスト)」であるという。小矢部詞氏は、ミカドは「御ガド」、十部族のガドと関係ありという。新たに川守田英二氏は、ヘブル詩歌の研究者であるが、伊勢音頭の囃子言葉「ヤートコセーエエヨイヤナー」は、出エジプト記の15章のミリアムの詩歌と見る。
他に語呂合わせとして、「虎の巻」は、トーラー(律法)のこと。しかし、専門家の研究によるとこれは中国の古典がそのルーツであることがわかっている。また、菊の紋とヘロデの門(ライオンの門)の紋章が似ているといわれるが、これは鎌倉時代(AD1199年-1246年)から始まっているので時代が合わない。ヘロデ王によるエルサレム神殿は、BC516年-AD70年の時代のものである。
伊勢神宮の灯篭にある印がダビデの星(ユダヤ教と民族の象徴のダビデの星のこと)に似ているものは日本では「カゴメ紋」として古くから日本あったもの。さらに、修験道の山伏とユダヤ教の律法学者が頭と手首につけているものが似ているといわれるが、これらすべて主観的なものであって証拠にはならない。
最後に日ユ同祖論が間違っていることは、現代科学で立証されている。互いの民族を遡ってDNAのタイプを調べたところ全く関係なかった。2005年、全世界の民族の代表者一万人が選ばれて、ジェノグラフィックプロジェクトという企画でDNAハプロタイプの追跡調査がなされたとのこと。その結果わかったことは、日本人のハプロタイプとユダヤ人のハプロタイプとは、全く違っていることが判明したという。この科学的試みにより、日ユ同祖論が何ら科学的根拠のないものであることが公表された。興味のある方は、ご自分でお調べになられることをお勧めしたい。
やはり、いろいろな情報のフェイクに対しては、ファクトで対するしかないと思う。ご参考にしていただきたい。
