「正しい情報キャッチ」

 随分以前の朝日新聞の天声人語に、「始めに地球が丸いことを知ったのは、ギリシャ人であった。その後にルネッサンスにいたるまでの間は、聖書の世界観に基づき地球は平板であると考えられていた」と書かれてあった。これは本当なのであろうか。地球のかたちについていえば、旧約聖書はギリシャ人よりも古くから地球は丸いことを伝えていた。「主は地球のはるか上に座し」(イザヤ40:22)。「球」とは、「球体」のことである。ヨブ記や箴言に記されている。天動説と地動説の問題については、天動説を主張したのは、エジプトのプトレマイオスやギリシャのアリストテレスであった。地動説は、コペルニクス、ガリレイ、ケプラーであり、彼らはクリスチャンであった。では何が背景にあったのであろうか。

 キリスト教がローマの国教になってから、当時の先進的思想や科学を積極的に取り入れるようになった。地球を中心とする天動説は、その時代の天文学者が説いていた「科学的常識」であった。キリスト教会は、そのことを聖書と照らして精査することなく鵜呑みにしてしまったのだ。何とカトリック教会がその一般常識を受け入れてしまったのである。

 このようなことが、今日、聖書について間違った見方につながってしまったとするならば、こんな残念なことはない。中世の教会は、信仰の問題をその当時の科学で裏付けようとした。そして、却って聖書の事実を否定することになったのである。確かに愚かなことであったと思われる。

 またこんなこともあったの紹介しておきたい。1861年、フランス科学院は、「聖書を否定する科学的事実が51もある」という内容の読み物を出版したという。ところが、その後100年間に聖書を否定するはずの51の「科学的事実」のほうが一つ残らず科学者自身によって否定されてしまった。ここで教えられることは、信仰は時代の推移によって影響されるものではないことであるが、科学は推移によって変わるものである。それゆえに、聖書を読むときには、世にいう「聖書対科学」という単純な図式によって理解しようとしないほうが思慮深いと思われるのではないだろうか。

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