小学生の頃、父親がユダヤ人の悪口を言っているのを聞いたことがあった。キリスト教の幼稚園を卒園して教会学校に通っていたので、ユダヤの国に生まれたイエスさまのことを知っている子どもとしては違和感をもった。では、実際私の父親はユダヤ人のことを本当によく知っていたのであろうか。おそらく、あまり知らないにも拘わらず噂や一方的な情報によって偏見をもってユダヤ人を冷たい視線で見ていたのではないかと思われる。
そこで、「知っているつもり」で知らないのがユダヤ人のことではないだろうか。まず、彼らの呼び方が三つある。
①ヘブル人。創世記10章21節でセムの子孫でエベルが出てくる。これは、「河の向こうから渡って来た人」の意味で、エベルがヘブルとなったようである。
②イスラエル人。アブラハムの息子ヤコブが後に「イスラエル」と呼ばれるようになった。その意味は、「神と戦う」とか「神が支配される」、または「神の皇太子」である。
③ユダヤ人。イスラエル史において、12部族が一国を構成していたのに、2部族と10部族に分裂したことがあった。北イスラエル王国と南ユダ王国である。ユダ族とベニヤミン族の南ユダ王国のことを「ユダ」と呼び、その国の人々をユダヤ人と呼ぶようになった。
次に、ユダヤ人はすべてアブラハム(信仰の父と呼ばれる)の子孫なのか。今日、ユダヤ人の女から生まれた者は、ユダヤ人とみなされる。父親がユダヤ人であることは問わない。ユダヤ人の女性が異邦人の男性と結婚して生まれた子はユダヤ人とみなされる。また、異邦人であってもユダヤ人になれる。基本的に厳格な律法生活がなされ、ヘブル語が話せなければならない。テストがあってこれに合格しなければならないのであるが、これが厳しいそうである。しかし、合格しても一年間審査期間があって生活チェックがなされ、それをパスすると晴れてユダヤ人になれるのである。
ユダヤ人研究者の書物によると、ユダヤ人は世界に1,358万人いると言われている。イスラエル420万人。米国570万人。ロシア150万人。フランス48満人。カナダ37万人。日本300人。
因みに、英国オールネーションズ神学校のチューターであられた英国人のマーチン・ゴールドスミス先生は、オックスフォード大学出身の生粋のユダヤ人であり、妻も二人の娘たちも皆同じであって、典型的なユダヤ人のお顔と容姿であられた。
ユダヤ人のノーベル賞受賞者は、数の割には多い。医学37人。物理学27人。化学16人。経済学9人。文学9人。平和6人。合計104人。これは、1900年から1987年の記録であるので、現在はもっと多くなっている。芸術界にも多くの優れた人たちがいた。音楽家、メンデルスゾーン、マーラー、バーンスタイン。作家、ハイネ、カフカ。思想家、マルクス、スピノザ。精神分析学者、フロイト。画家、シャガール、モジリアン。政治家、トロッキー、キッシンジャーなど。これらは、かつて離散の民であったユダヤ人が世界の各地に移り住み、長い間をかけてそれぞれの国々に貢献しようとした努力の結晶であると言えるのではないだろうか。
